エクストリーム帰寮参加記
この記事はポエムです。アレルギーのある方は閉じてください。
PCで見る事を想定して書いています。スマホだとレイアウトが崩れてるかも(ごめん)
この記事はエクストリーム帰寮アドベントカレンダー2022の17日目の記事です。
adventar.org
時が経つのは早いもので、気がつけば大学生活も後半です。
大学生になって3年、エクストリーム帰寮も3走目。
2022年も年の瀬が近づいてきました。寂しく賑やかな冬の訪れです。
==============目次==============
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↑ 1~4はこれまで蓄積してきた知見や小話、5がエク帰2023の話。(時間が無い人は5から読んで下さい。)
2. なぜ参加するのか?
自分は熊野寮の関係者では無いですし、熊野寮に入るのは年に一度エク帰の時だけです。
ではなぜ熊野料の様な魔境*1に足を踏み入れてまで参加するのかと言うと、
落とされた直後のスリルと達成感が忘れられないからでございます。
ここまで自分の限界に挑める体験は滅多に無いのではないでしょうか*2。
3. これまでの長距離移動歴
本題に入る前に、自己紹介を兼ねてこれまでの長距離移動歴を晒しておきます。
普段はロボティクスや制御工学・強化学習などを勉強したり、何かしら開発してたりします。
・エクストリーム帰寮2020(木津川の山の中、徒歩、45km程度)
・エクストリーム帰寮2021*3(日吉ダム、徒歩、57.9km・893m↑)
・エクストリーム帰寮2022(芦生演習林、徒歩、75.9km・763m↑)
・ビワイチ(クロスバイク、214km)
・ビワイチ(ロードバイク、214km・738m↑)
・神戸(クロス、170km)
・神戸(ロード、175km・640m↑)
・永源寺ダム(ロード、160km・723m↑)
・伊賀(ロード、132km・1362m↑)
・日吉ダム(ロード、123km・1700m↑)
・彦根(ロード/クロス、120km程度) × 3~4
・関ヶ原(クロス、途中で知り合いの車に乗せていただいたので140km程度)
・下宿→大学(2~3km、毎朝通学RTA((交通規則は厳守しています。)))
など。これまでの走行距離のΣは4000km程度。
4. 準備と装備
最低限の安全の為の装備と、人様に迷惑を掛けない為の装備は準備しましょう。
4.1 これまでの知見
・長時間使えるライトが便利
電灯のある道におろしてもらえるほど現実は甘くない。そして日が出ても明るいとは限らない。
山道は日中でも暗いし、夜間は霧が出ている時もある。
そもそも車が来た時に自分たちの存在を認識してもらえる様にしておかないと危ないです。
誰もいないと思って山道を走っている車ほど怖いものはありません。
・ポリ袋が便利(回路部品とか入れてるアレ)
補給食やちょっとしたゴミをまとめて管理するのに便利。
ゴミはちゃんと持って帰りましょう。
・補給食は大事
ハンガーノックは本当に怖い。カロリーは正義。カロリーは正義。(大事な事なので2回言いました)
山の中だと数10kmコンビニ・電波無しだったりする。
水がなくても食べやすい羊羹がオススメ。
カロリーメイトは腹持ちはいいけれど、口がパサパサになるのでしんどいです。
・防寒/雨対策
夜の山の中は死ぬほど寒い。2021は雨/霧/雪のオンパレードだったので本当に酷かったのですが、
2022は暖かく天気も良かったので平和でした。
ちなみに寝る時はペットボトルを枕に、ダンボールやゴミ袋を布団にすると暖かいです。(NHKロボコンで学んだ)
・レッドブル
翼を授けてくれる。カフェインの翼で数多の修羅場を駆け抜けてきました。
デスマの時に使うもので便利なものはエクストリーム帰寮でも使えると思います。
・土地勘があると便利
運が良いと酷道・腐道を回避したり、逆に突撃したりできます。
物好きな方はぜひ持越(日吉)や芹生(上黒田)などに挑戦してみてください。
477は最近道が綺麗になってるので物足りないかもしれない。
ちなみに芹生峠には教習車も走っていました。頭おかしい。
・不審者扱いされる
ゆめゆめ忘るるなかれ。真夜中に歩き回っている我々は、傍から見れば不審者そのものなのだ。
そもそも車で知らない場所に運ばれて歩いて帰ってくる行為そのものが不審な行為なのかもしれない。
4.2 装備
今回のエク帰寮では以下の装備での出走を予定しています。
・タオル
・リュック(18L、560g)
・羊羹(セブンイレブン、kCal)
・モバイルバッテリー(Ankerはいいぞ)
・ライト(RN800、GVolt70、テールライト)
・ジップロック × 2
・キャラメル(森永)
5. 出走後の経過
歩行ルート全体(芦生演習林 --> 熊野寮) : 75.9km・763m↑・総移動時間21時間10分
※ 重要なスポットにはgoogle mapのリンクを貼ってるので、位置を確認してみて下さい。
5.1 輸送中の話
花背峠(酷道477号) --> 佐々里峠(腐道38号) --> 芦生演習林のルートで運ばれました。
とんでもない場所に運ばれている中、自分はと言えばひたすら車酔いしてました...。
花背付近では既にグロッキー状態になっていて、なかなか気持ち悪かったです。
40kmの所(広河原)で別のチームが落とされ、そこで一度トイレ休憩を挟みました。
新幹線以外のボットン便所は久しぶりだったので、楽しかったです。
↓ファンが回る音が室内にも伝わっているらしく、用を足してて落ち着かない。
5.2 投下
自分は美山に運ばれてるんだと思っていたのですが、まさかの芦生演習林でした。
運んで下さった方にお礼を言って真っ暗な道へ出発です。
芦生演習林にも色々と面白い話がある様です。こうした人間の営みって良いですよね...。
www.geoid.gr.jp
ちなみに降ろされた時点で、以下の事が分かっていました。*4
・佐々里峠を超えた美山の奥に落とされている
・帰るルートは2通り*5
府道38号(南へ) --佐々里峠--> 国道477 --花脊峠--> 鞍馬寺 --> 熊野寮 (鞍馬までずっと山道)
府道38号(西へ) --> 美山町 --> 国道162(無限162編) --> 高雄 --> 熊野寮 (遠回り・人が存在)
・クマが居るらしい
・佐々里峠付近はほとんど人通りが無い
(京都北部の道では162と367が車通りが多い事で知られる。477も意外と車が居る。)
今回は「出来るだけ勾配が少なく、補給しやすいルートを選ぶ」という方針だったので後者を歩く事にしました。
自己位置の同定やルート選択については、地の利があった事も相まって割と簡単でした。
まさか15kmも遠回りするとは...
ちなみにロボットなどで経路を経過する時は、
「大域的な経路 --> 局所的な経路」の順番に計画する事が多いです。
これはエクストリーム帰寮でも同じ事が言えて、現在の位置と京大の位置関係(方角など)から、
1. 経由地点(特定のスポットや市や街でも良い)を一通り決める
2. 各経由地点を結ぶ経路を青看板や地域の案内地図から選択
という手続きを繰り返す事で熊野に帰る経路が計画できる事が多いです。
5.3 道中
75kmは長すぎて自分の文章力では一纏めに記述出来無いので、3パートに分けて記述します。
5.3.1 明るくなるまで(芦生演習林〜 知井の里 情報発信館)
まずは夜明けまでの15kmです。芦生演習林から38号をひたすら西へ進みます。
夜の山道は真っ暗で、めちゃくちゃ怖いです。
鹿やクマ・イノシシが来ないことを祈りながら歩きます。
土砂崩れで道が崩落して迂回路が作られていました。最近崩落したっぽいですね。
(詳細 : 京都府道路情報管理・提供システム、ID382)
人間が作った道を自然が破壊しては人間が対応する、
自然の雄大さとそれを変形する人間の力強さにはロマンを感じます。
迂回路が煌々と照らされていてやたら明るいので、
補給を取りつつ看板から位置の認識が合っている事を確認します。
さらに歩くこと数十分、エリアマップを発見しました。ようやく街に着きそうです。
(実はこの地図、距離が圧縮されていて街は当分先です。)
ここから数時間歩き続けます....。
途中で犬に吠えられたり、鹿に遭遇したりしました。
田歌周辺で犬に吠えられた時は死を覚悟しましたが、どうやらお家の番犬だったようで命拾いしました。
勿論写真を取る余裕はありませんでした。まぁそういう日もありますよね。
このエリアでは番犬を飼っているお家が多い様で、2軒のお家のワンコに吠えられました。
ワンコさんや...起こしてすまんな...。
更に歩くこと数時間、5:00頃にようやく村(?)に到着し、初めて車&通行人に遭遇しました。
ちょうど交番があったので、その明かりを頼りに休憩です。
ここからは街っぽくなり、時たま人間を見かける事もありました。
更に1時間ほど歩くと「知井の里 情報発信館」と書かれた道の駅(?)っぽい所に到着です。
5.3.2 明るくなってから
次は日が出ている間の30km弱です。ここまではまだ記憶があります。
知井の里 情報発信館で休憩し、補給を取った所で出発です。
ここまでお世話になったRN800(自転車ライト)をリュックに戻して、夜明けを迎えた美山を進んでいきます。
美山は綺麗な茅葺屋根の家が連なる事で有名です。
鹿対策のネットで街の山際が囲われる構造になっていてウォールマリアを彷彿とさせます。
gazelleというメーカーのクロモリロードが置いてありました。
オランダの老舗自転車メーカーらしいです。自分も初めて聞きました。
道の駅で売店のおばちゃんに鹿肉コロッケを頂きました。滅茶苦茶美味しかったです。
お洒落なお店もありました。
5.3.3 陽が落ち始めてから(ウッディー京北〜熊野寮)
正直な話、ここらへんから記憶がありません...。
自転車で走ったことのあるルートだったので、
余計に自転車の距離感と徒歩での距離感の差に苦しめられていました。
6. まとめ
よく40kmまでは健全、50kmから苦行、60kmを超えると悟りの領域とはよく言ったものです。
70kmを超えた段階では痛みのあまり、信号の度に手すりにもたれたり、地べたに座ったりしていました。
100km超えの皆様は尊敬しか無いです。
・後日談
先日チャリでもう一度美山に行ってきました。自転車だと一瞬ですね。